私は慌てて携帯を見る。
確かに、そのメールは受信していた。
受信した時間には、私は今日に備えて早々と夢の中にいたはず…。
だけど既読になっているということは、もしかして寝ぼけて開いたのかな…
「ほ、ホントだ…ごめん…」
私はまた、涼に謝った。
「….ったく、人騒がせなやつ」
「だって……きゃっ」
そう言って涼は、私の腕を引っ張って抱き寄せた。
「…やっぱ出かけんの中止」
「え、じゃあ私…」
私は帰るよ。涼はレポート、終わらせないと。
そう言おうとした時、涼の唇が私の言葉を塞いだ。
「んっ、ちょ、涼っ…」
涼の深い深いキス。
触れただけで、まるで魔法にかかったみたいに、すぐに意識が朦朧としてきた。
…….だ、ダメ…
さっきのさっきで、また変になっちゃう…
だから、これ以上は…
「涼ー、お友達がみえてるわよー」
階段の下から、突然のおばさんの声に私は意識を取り戻した。
「…ちっ、なんなんだよいつも…。
ちょっとまってて咲」
おばさんの声に小さく舌打ちをして、不機嫌そうにつぶやくと涼は部屋を出ていった。
私は涼が部屋を出ていったとたん、ベッドに崩れ落ちるように倒れた。
…あ、あぶなかった……
今の流れは、“そういうこと"になりかねないものだ…
邪魔が入ってホッとした反面、
涼にキスされただけで湧き上がったこの熱を、どう沈めたら良いのか分からなくて困ってしまう。
私はベッドのシーツに顔をうずめた。
沈まれ…沈まれ…このモヤモヤ…早くどっかいって…
あぁ….でも涼のにおいかいでたら、また…
…………
………もうっ、良い加減にしろ私!!
私はバッと起き上がると、部屋を出て階段を降りた。