涼の腕が、グッと私の腰を引き寄せる。
鼻腔いっぱいに、涼のにおいが広がってゆく。
「ちょ、りょ、涼っ、….」
逃れようとしても、涼の力が強くてほどけなかった。
“…だ、ダメ…これ以上くっついたら……”
またムズムズしてきちゃうよ…
…てゆーか、足…?
涼の足が、変なとこ当たって…
ふと気になって視線を下ろすと、涼の下半身がモ……
「んぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」
気付くと私は、力の限り涼の身体を突き飛ばしていた。
ーーーーーー…
「だから、ごめんって!何度も謝ってるじゃない」
私は涼に向かって手を合わせた。
だけど涼はさっきから、不機嫌MAX。
ちっとも機嫌を直してくれない。
「でも涼が悪いんだよ?
いきなり引っ張って抱き寄せたりするから…だから私、びっくりして…」
本当の理由は伏せといた。
…本当は涼のアソコが大きくなってて驚いたなんて、
恥ずかしすぎて言えるわけないじゃない。
てゆーか、何で私が恥ずかしがらなきゃいけないの?!
私の方が年上なのに!
どうして涼はそんな普通でいられるのよ!
「マジ痛ぇんだけど…咲、お前どんだけバカ力なんだよ」
突き飛ばした拍子に壁に頭をぶつけたらしく、後頭部を抑えながら涼は私を睨む。
「もう、良い加減許してよね!
第一、今日出かけるって言って寝坊した涼が悪いんでしょ?!
私が寝坊すると怒るくせに、なんで自分は…」
「おい、ちょっと待て」
涼が私の言葉を制した。
「俺、昨日メールしたよな?
レポート終わんねぇから、出かけるの昼過ぎにしてくれって」
「え……」
「まさか、読んでねぇの?
返事なかったからまさかとは思ってたけど……」
涼が大きくため息をついて言った。