涼の枕元にそっと座り込む。
黙ってれば可愛いのに…
なんでこう、生意気に育っちゃったのかしら?
優兄ちゃんが涼に甘すぎなせい?
私はそっと、涼の髪に触れる。
緩いパーマが、私の指をくすぐった。
大学に入ったとたん、色気付いたのか涼はパーマをかけた。
背だって優兄ちゃんと変わらない。
私の方が5歳も年上なのに、今じゃ見下ろされてる始末。
ま、男の子だから仕方ないんだけど…
ちょっと前まで私の後を追いかけてたのに。
“咲ちゃん、咲ちゃん“って…
あの頃が、本当懐かしいわ。
…どんどん、大人になってゆく涼。
大学でもきっと、モテるんだろうな。
なのにすましちゃって涼のやつ…
だんだん腹が立ってきて、私は涼の頬をつまんでやろうと姿勢を変えた。
その時、膝に何か当たって私はその手を止める。
「ん…?なんだろ…」
ベッドの下を覗くと、雑誌が数冊積んであった。
どうやらこれが膝に当たったらしい。
“こんなとこに置いたら、ホコリかぶるたけじゃない…”
そう思って、その雑誌に手を延ばした。