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大きな手のひらが、私の頬を優しく包む。



“咲…


俺、咲が欲しい。



咲を、俺のものにしたい…”



”涼……”


その声は、いつもの様にぶっきらぼうでも冷たくもなく、



どこか艶っぽく、私の胸に響く。


なんだか切ないような…もどかしいような…




早く、涼に触れたい。



涼に、触れてもらいたい。



そんな欲求が、私の感情を支配する。



涼の顔がゆっくりと近づいて、唇が重なる。




意識がだんだん朦朧としてきた。


身体がふにゃふにゃにとろけてしまいそうなキス。


しがみつくように、涼の身体を抱きしめる。



“…続き、する？”


涼がいたずらっぽく聞いた。


…うん。


私は、大丈夫だから…早く…


早く、この先を……



“嘘。俺、焦ってないし。今日はここまで”



そう言って、涼の身体は離れていった。



…え、うそ、待って。


そ、そんなぁ……