また、あの冷たくてねっとりとした視線が絡む。
それでも、要は綺麗な笑顔を貼り付けたまま。
こう言う場は、私より要の方が慣れているのだ。
パーティに同席している、どこかの政治家の娘の視線が、要に絡む。
あぁ、生意気。
要を見つめていいのは私だけなのに。
「こんにちは」
「え、・・・・あぁ、こんにちは」
まだ私と同じ年頃のような目が、泳ぐ。
わざとその娘の目を抉るように見遣った。
要するに、睨み付ける。
そうすると、娘はそそくさと私たちから離れていく。
「こら、梓。睨みすぎだよ」
「だって、生意気だもの」
「まったく」
要は困ったように小さく囁きながら、笑った。