『きみと話しているうちに、僕は一人じゃないって分かったんだ』
両親に見放され、置いていかれ、勝手に親面をする人間に頭を下げ、絶え間なく突き刺さる憎悪に押し潰されて、何度も死のうと思った。
それが要、だったんだ。
こんなに優しい笑顔を浮かべて、秀麗な雰囲気を纏わせて、全てを完璧にこなしている彼の過去は、こんなにも重たく泥泥しいものだった。
嘘と絶望と、嫌悪と恨みで塗り固められた人生。
私よりも何年も早く苦汁を味わって、ずっと今日まで生きてきた。
要よりも幸せな私が自殺を志願するなんて、なんて醜いことだろう。
私は、初めて自分を恥ずかしいと思った。
『きみも、僕と一緒でしょ?』
この世界に、呆れ果てているんだ。
『ならいっそ、二人で幸せになって、この世界を見返してやろうよ』
過去なんて、過ぎたらただの思い出だよ。
私の頭に、死んだ両親と、これまで会ってきた人の顔が過ぎった。