要は、誰よりも、何よりも、このお兄さんを嫌っている。

いや、嫌っているというより、苦手としている、の方が合っているかもしれない。


本城家の柵に、要が縛り付けられている理由。



本城家は有名な資産家だ。

世界に無くてはならない、莫大な範囲を占める力を持つ、大きい家。


そんな本城家はどう言う訳か、子宝に恵まれなかった。


要の親に当たる人、その親の親にあたる人。

皆、決まって子供はできなかった。



そこで、跡継ぎが出来ず、困り果てた要の両親が、養子を求めた。


要は勿論、要の四つ上のお兄さんも養子。

全員全く血の繋がらない家族、という訳だ。


本城家は血縁よりも実力を求め、要と要のお兄さんを本城家に迎えた。


そこで、本城夫妻は、二人を競わせたのだ。


より実力のある者を、とわざわざ二人も養子を集め、実力が上の方をどちらか、本城家の跡取りにしたのだ。


そして、勝ったのが、要。


歳が下であるはずの要が、お兄さんより腕が上、だったのだ。