そうして、退屈な時間を窓を眺めながら、ぼうっとしていた所。
机の上の固定電話が鳴り響いた。
「えっ」
思わず机の上を凝視する。
画面に表示される、知らない番号。
(・・・留守電にしちゃえ)
赤いボタンを押せば、流れる無機質なアナウンス。
内心どきどきしながら、私はその機械音のあとに聞こえる声に、耳を澄ませた。
『・・・・父さんが倒れたそうだ。隣町にある病院に入院した。
お前も暇があったら見舞いに行ってやれ』
どき、と心臓が高鳴った。
私の、嫌いな声。
『・・・・最近羽振りが良いそうじゃないか。凛堂家と付き合って好都合なんじゃないか?』
いっそ、この留守電を切って、私が出てやろうかと思った。
それを堪えて、私はそのまま流れる声を聞いた。