要は大財閥の御曹司。
仕事の腕も良いし、頭も良いから、すぐに“お母様”の目に止まった。
私の家は世界でも上のほうの、資本家。
「・・・・・緑さんは?」
「お母様なら会場にいるよ、どうする?」
「時間が余ったら挨拶にでも行こうかな」
要は私を抱き竦めたまま、高級仕立てのソファに座った。
「梓、梓、これからはずっと一緒に居れるね」
「そう、だって今日のために私達は我慢してきたのよ」
要が私を力強く抱きしめた。
「あんなパーティに戻りたくない、梓の姿を他の男に見せたくないんだ」
「それは私も同じよ、要は女豹に食べられやすいんだから」
要がふふ、と笑う。
私もその笑顔につられて、表情が緩くなった。