『貴女は“本城家”の仕組みを理解してないから、要くんに易々声を掛けられるのよ。』
『本城家の、しくみ・・・・・・・?』
“お母さん”は椅子に座って、足を組みながら言った。
『要くんは、毎回毎回貴女と遊ぶためだけに、ここへ来てると思う?』
『え・・・・?』
分からなかった。
“お母さん”の口ぶりからすると、要がこの家に用があって来た、と言ってるようだ。
『要くんはね、今はまだ十三歳だけども、もう後継者として、会社の仕事はこなしているのよ。凛堂家に来るのも、仕事の為。
貴女と違って、要くんは忙しいの。将来、本城家を担う要くんを、貴女は容易に話しかけてはいけないはずなのよ』
だって、貴女は要くんにとって、仕事の邪魔でしかないんだから。
しゃがれた、“お母さん”の声が鼓膜の中を響かせる。
『・・・・・いい?金輪際、要くんには会わないこと。あちらの家に睨まれたら、凛堂家は一溜りもないんだから。もし、会うようなことがあったら、言葉には気を付けなさいよ』
“お母さん”は、椅子から立ち上がると、座ったままだった私を置いていって、去ってしまった。
私の心の中で、強烈な後悔と、疑問が残った。