部屋は暗くてよく見えない。


開いた扉の前で往生していると、焦れったい、とでも言う様に、部屋から細い腕が伸びてきた。


「・・・・何を躊躇してるの」


ぱたん、と扉が閉まる。

私は引き寄せられた。


「梓、顔を上げて」


冷たい指が私の顎を持ち上げる。

その人の顔が私に映った。



「要、また寝てたの?」

「昨日、よく寝れなかったんだ。それに、あんなパーティに出るよりはマシでしょ?」


思わず笑みが零れた。


「・・・私と要が主役のパーティなのに」

「それは確かにそうだね」



要、はまるで花が咲くかのように、美しく笑った。