『きっと並べ方が英国だから、イギリスだね。僕、イギリスに行ったことがあるんだけど、料理は礼儀より、楽しく食べた方が良いと思うんだ』
要は長い睫毛を伏せて、フォークとナイフの順番を変えていく。
『・・・・かなめは、何でそんな事知ってるの?』
そう聞くと、要は哀しそうに答えた。
『・・・・・・・なんでだろうね』
その切ない表情に、私は幼いながらに何かある、そう思った。
それから、私と要は仲良くなった。
“本城”の家は、仕事でよく家に来て、そのたびに要と会うから、仲良くなるのも当たり前だったと言えばそうかもしれない。
私たちは、お互い何も知らないまま、楽しく遊んでいただけ。
ただ、それだけだった。
両親は、家が良い所の子供と遊ぶと笑ってくれたし、私に優しくしてくれた。
ただ、それだけ。
だけど、要はどこか哀しげで、でも面白くて、一緒に居て楽しかった。
次第に、私は要に惹かれていった。