見下ろされるのが気に食わなくて、私は立ち上がった。
だけど、彼は私より上背だった。
要、が落としたフォークを拾ってくれる。
『何か、悪い事でもしたの?』
哀しげな、どこか遠い目をした要が、私の顔を覗く。
『・・・・・・シルバーの使い方が、違うって・・・』
思わず、その瞳につられて、私は呟いていた。
『フランス?それとも、イタリア?』
『え?』
『だって、国の作法で食べ方は違うんだ。どこの国の食べ方?』
要は、笑いながら、当たり前のように私の隣の席に座った。
『僕、少しなら教えられるよ。僕でもいい?』
要が、隣の席に座るように、手を引いてくれる。
私は、吸い込まれるようにして、椅子に座った。