「・・君に惚れたんだ。それは知ってるよね?」

「そんな不躾な告白、初めてされました。申し訳ないですが、それは勘弁してください」

「つれないなぁ」


千崎は行儀悪く、私の視界の斜め右に入る、机の上に座った。



「下らないパーティに無理矢理参加させられて、少しは収穫があったと思うんだ。
だって、目を引く美人が居たんだよ?」

「結婚報告をしている花嫁に“会いたい”と言う人だから、どんな人間だろうと覚悟はしていましたが、ここまで重症とは私も知りませんでした」

「君の目に、惚れたんだ」


思わず、眉を寄せた。

くさすぎる。

そして、甘いマスクで笑みを浮かべている千崎を睨む。



「だって、君だけだったんだ。顔じゃ笑顔を浮かべているのに、周囲を警戒して、噛み殺すような目付きをしてる。そんな人間、今まで見たこと無いよ」

「目付きが悪くてすいません」


私は席を立った。


まるで、話にならない。

こんなんじゃ、一方的な求愛だ。

この人は遊びで“婚約”なんか戯言を漏らしているのだ。