(つねられた・・・)
まだひりひりとする手の甲を撫でながら、居間を出て行く緑さんを見送る。
内心ガッツポーズだ。
これで、この縁談をぶち壊せるかもしれない。
意気揚々として、千崎蒼人の方を見る。
「生意気な目」
ひやり、と冷たい指の感触が顎を触る。
視線を上にと上げた。
「え、・・・・・・・・・・・?」
細い指が、私の顎をそのまま持ち上げる。
「酷い痣だね。大方、あのおばさんにでも絞められたんでしょ」
私は千崎蒼人を見上げた。
正面に居た筈の千崎はいつの間にか立っていて、机に手を付いて、私の首をまじまじと見ていた。
「・・・・・やめてください」
首を固定する冷たい手を払い除け、私は千崎蒼人を見返した。