「蒼人さんは大学で医療を学んでいらっしゃったとか。何を勉強していたのですか?」

「あぁ、僕は人間の細胞と遺伝子関係について、重点的に勉強してました。とても今の為になる経験でしたよ」


千崎蒼人。

アメリカや他国にも勢力を伸ばしつつある、今大注目の化粧品会社、“千崎グループ”の後継者。つまり、かなり偉い人。

頭が良くて、良い大学出身の、容姿も抜群に良い。行動力も判断力もあるから、非の打ち所が全くないのだ。

困った、これじゃあますます緑さんが彼に惚れ込んで、結婚の話が濃くなる。



「素晴らしい経験をお持ちなのね。ほら、梓も黙ってないで、蒼人さんに聞きたい事とかないのかしら?」

「そうですね・・・・・・・」


考えたふりをする。

千崎蒼人のことなんか、一ミリも考えていなかったから、全力で質問を考えた。


「じゃあ、趣味なんかは・・・・・・」


いきなりベタな方向に来てしまう。

戸惑った顔を千崎蒼人に向けてしまうと、彼は甘い表情で優しく笑った。