「・・・・これは?」
豪勢に並べられた料理のすぐ横に、えらく立派な写真。
全く知らない男。
「この人はね、先日のパーティに出席していただいた、千崎さん、って言う方よ。」
「せんざき、さん?」
「えぇ。貴女も知ってるわよね?この間アメリカに立派な会社が建った、大手化粧品メーカーの千崎よ!」
私は思考を巡らせた。
何となくそのような事はニュースで聞いていたから、とりあえず“千崎”の存在は分かった。
「この方は、この会社の御曹司、千崎蒼人さん、って言うの。」
緑さんが私の隣に座り、組んだ手の上に顎を乗せながら、上機嫌に言った。
何となく、ちらりちその写真を見る。
(これはまた、綺麗な人間・・・・。)
真っ直ぐ前を見て、爽やかに笑うその人からは、“良い人”のオーラしか感じない。