「ただ、“久しぶり、元気でしたか?そちらはどうですか?”って聞かれただけだよ。
だけど、兄さんが俺に向ける目は、汚物を見るような目だった・・・・」


要の声が震える。

あぁ、彼の人生は何でこんなに醜いのだろう。


「要、要、私は要をずっと愛してる!だから、悲しまないで」


この世で一番醜いのは、どうか私であって欲しい。

こんな純粋に心が汚れてしまった要には、何の罪も無いのだから。



「梓が、そう言ってくれるから、俺は今まで生きて来れたんだよ」


顔を上げると、要は笑っていた。

その顔に少し安心しながら、心が満たされた。



「お願い、ずっと俺だけの梓で居てね」


息が出来ないほど、強く抱きしめられる。

あぁ、こうやって私たちはまた、狂って行くんだ。



「勿論、わたしは要だけのもの・・・・・・」



時間が迫ってくる。

また、あの怪物に会わないといけないんだ。

このまま、時間が止まってくれればいいのに。