『かなめ、死ぬときは、きっと一緒?』
『一緒だよ、だから、梓、僕を置いていくなんて、許さないからね』
そうだ。
そのときの要の顔が、脳に薄っすらと浮かび上がってきた。
きっと、そのときから私たちはおかしかったんだ。
「要、死ぬときは、きっと一緒?」
頬に滑らかな感触を感じた。
「・・・・一緒だよ。だから梓、俺を置いていくなんて、許さないからね」
私は目を開けた。
私を覗き込んでいるのは、愛しい愛しい、要の姿。
「もう、勝手に死のうなんて思ってないよね?」
「要・・・・・・、要が居るなら、死なない」
九歳の夏だった。
私は自分の手首を切り落とそうと思ったのを、要に止められた。
そのときの、要の静かな顔を忘れない。
そのときに、あぁ、要はもっと荒んだ人生を送っていたのか、と命を絶とうとした自分が恥ずかしくなった。