欠伸と共に、溜め息が零れ出た。

昨日の盛大なパーティのせいか、寝ても休んでも眠たい。

高級シルクのベッドに寝転んだ。


人間は、非常に面倒臭い。

自分を隠してまで他人に気に入られようとするし、それをしなければ、世間から浮き離れてしまう。

まるでそれが、“生き延びる道だ”とでも言うように。



『梓、結婚しよう?』


不意に、ぼんやりと過去の記憶が蘇ってきた。

あれは確か、私が九歳の頃だ。



『結婚して、僕らだけになって、それで、二人で死のう』


要はきっと、まだ十歳前後だった。

何も知らない私と要が、手をとりながら、理想だけに満ち溢れた夢を語り合った。


『梓、ずっと、ずっと一緒だよ』


うん、一緒。

だから、私は要に着いていくの。