「ねぇ、やっぱり怪しいと思わない?」

「何が?」

「今、私が居なかったら凛堂家には、後継者が緑さんだけ。その緑さんが死んでしまったら、凛堂家は確かに後を継ぐ人間が居ないわ」

「あぁ、そうだね。それは確かだ」


私を抱き寄せる要が、少し苦そうな顔をした。


「梓の父に当たる人間も、死んでしまった。そうしたら、凛堂家を支える人間なんて、緑さんしかいないね」

「自分が居なくなった時の事を考えて、緑さんは私を無理矢理、凛堂家に入れたのよね」

「あぁ、そう考えた方が辻褄が合うね」


ふと、わたしは顎に手を遣り考えた。


やっぱり、凛堂家は、邪魔な私の両親を殺したんだ。


「でも梓、凛堂の血筋を恨んじゃだめだよ」


要が優しく髪を梳く。


「えぇ、勿論よ。だってこの家に居ないと、要には会えないんだもの」

「そう、それは俺だって一緒なんだ」


要の温かい手が、私の頭を撫でた。