爪先を見る。


高級感溢れる、真っ黒なシルクドレスが揺れた。


高いパンプスが心地良い音を出して、跳ねる。


上品に巻かれた、質の良い髪。


日焼けなんて知らない、真っ白な肌。



それが、私の姿。



「こんにちは」


真っ赤な絨毯が床一面に敷かれている、廊下。

そこでグラス片手に会釈をしている紳士。


「こんにちは」


笑顔を作って、軽くお辞儀をする。



“ここ”は、一般の世界とは少し、いや、大分違う。


普段聞かない、“パーティ”と言う名前の式だから。