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無機質なコール音が鼓膜に響く。

内心どきどきしながら、私は出るであろうその人の声に、耳を澄ませた。


窓の外を見ると、こんなにも世界は明るい。

ぼんやりとそれを眺めながら、私は隣の要を見上げる。


私しか見てない、少し螺子が狂ってる彼は、私と目が合って笑った。


「あぁ、緑さん?」


電話が繋がり、私は間髪いれずに声を掛ける。

勿論、向こうから聞こえたのは怒号。


『なにが、“緑さん”よ!“お母様”と呼べと何度いったら分かるの!
貴女はいつこちらに戻ってくるつもりなのかしら?!要さんもそちらにいるのでしょう?』


電話を少し耳から遠ざけて、要を見遣る。

要も困ったみたいに苦笑してた。


「・・・・わたしは貴女を“お母様”なんて呼ぶつもり、もう無いわ」

『何ですって?!貴女、誰のお陰でこれまで生きてこられたと思ってるの!』


空が、気持ち悪いほど青い。

これまで見上げてもいなかった空は、こんなに澄んでいたんだ。