「好きな色は、赤。見た目が悪い食べ物が嫌いで、野菜も嫌い。
甘いものが好きで、音楽は静かな曲調。
運動神経が無くって、本当によく転ぶよね、あとそれと、視力は人より悪いよね。
まだまだ、知ってることはたくさんある。逆に、知らない事なんて無いくらい。
ねぇ、梓は俺から逃げられると思う?」
千崎と、正反対な要。
自由から真逆なひとで、基本が束縛。
そうだ、要は狂っているんだ。
自分から逃げないように、どかに閉じ込めて、自分だけのものにしようとする。
端から見れば、要は変わってる人間なんだ。
あぁ、何で私は少しでも、千崎を認めてしまったんだろう。
私は、そんな要のものなのに。
私も、要と同じ、変わってる人間なのに。
「・・・・・逃がさないよ、一生」
俺から居なくなるなんて、許さない。
耳元で囁かれた言葉に、私は力が抜けた。
一生を、保証されたんだ。
ずっと一人だった私に、要は一生離れていくことの無い、唯一の光。
あの日誓った、要との明るい未来。
「・・・・・・、ぜんぶ、終わったの・・・・・・?」
「うん、終わった。二人だけになる準備は、もう終わったんだ」
優しい笑顔。
心臓が穏やかに脈を打つ。
浅く息を吐いた。