"さっちゃん"
どことなく、初対面ではないような顔だった。
003
小学校の卒業アルバムを押し入れから出してきて、クラスメイトの載っているページを開いた。
…すると、同じ小学校だった。
たった2クラスしかないのに、話したことがあったのに、なぜ私は忘れてしまっていたのか
ううん、忘れたんじゃない。忘れようとしていたのだと、この時ようやく気付くことができた。
周りを遠ざけることで、独りぼっちを装って、毎日を怯えながら過ごしてきた私と違って"筋"の通った真っ直ぐな女の子。
あぁ、よく転んだ私を助けてくれた彼女は
あの子だったんだ…
すべてが合致した、
でも、彼女みたいに強くないし、嫌な噂はたてたくない。
ましてや、先生にチクるだけで、バケツの水をかけられる始末だ。
そんなの、もっての他!
私は、何かをするわけでもなく、遠くから彼女の争いをただ黙って見ていることしかできなかった。
無力な自分に腹が立ち、とても歯痒くて、もどかしい気持ちになった。
―――ねぇ、神さま。
どうして私が生まれなきゃならなかったの…?
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