彼女は車椅子に乗り、相変わらず桜の木を見ていた。
彼女が僕を斜め下から見上げて「見て…少し咲いてる」と言った。そして言い終わると桜の木を見た。

隣に居る僕は彼女を見て、つられる様に桜を見た。

冬の残る冷たい風が桜の花を揺らしていた。