遥翔といる時間は、ホント早い。
さっきまで2時だったっていうのに、もう6時だ。
「よし!俺が飯作る!!」
「え、そんな…いいよ。自分で作れるし」
ホントは風邪なんかじゃないから、後ろめたい。だなんて言えないけど…。
「いいからお前は座っとけ」
「…じゃ、お言葉に甘えて」
「最初からそう言えよ。ったくサクラはバカだな!」
「遥翔に言われたくないよ、バーカッ!!」
ホント…バーカ。
そんな気が利くならさ
そんな人の心に敏感ならさ
私の気持ち、ほんの一欠けらでもいいから見抜いてよ。
あれ…__私、考えが矛盾しまくりだぁ……。
ホントは、気づいてほしくないくせに。
ホントは…、気づいてほしいくせに……____。
私は遥翔にうながされて、ソファーに座った。
…ま、大丈夫でしょ。
遥翔ならなんでもチャチャッとこなせちゃいそうだし!
心配ないない!!
___ドォンッ!!
「……へ?」
な、なんだ、今の音。
すっごい音したんだけど……。
私はそーっとキッチンに向かい、レシピ本と格闘してる遥翔の様子をうかがった。
「あーくそっ!電子レンジの使い方なんてしらねーよ!」
ふふっ…電子レンジにキレたって仕方ないのに。
なんで遥翔は…あそこまでしてくれるんだろう。
最初はただの…ムカつく女だった私に対して。
どうして…___。
「イッテ!!リンゴなんかむけねぇよ!!」
私を期待させるようなことばかり
この人はするんだろう……。
やっぱ部屋もどろ。
あんな必死な遥翔に声かけらんない。
私……平気で話せるような
強い人間じゃない。
見ていたことを遥翔にばれないように、そーっとリビングに戻る。
はぁーっとため息をついて、そのままソファーにゴロンっと横たわった。