従順な彼は、もしかしたら私以外の人が『愛して』と頼めばそうするのかも知れない。
彼を信じていない訳ではないの。
ただ、彼はいつだって私の言いなりなんだもの。
転勤が嫌だと言えば行くのをやめる。
『抱いて』と言えば抱いてくれる。
欲しい、と言えば与えてくれる。
私のものだと言えば、そうだと言う。
…考えてみたら信じられないわ。
私は誰かにそんな事を頼まれても絶対に嫌だもの。
「……ねえ、…他の女にも、頼まれたら同じ事を……する…?」
「は?…何を?どういう意味…?」
…訊いても答える訳がないわね。
彼も私を『ケモノ女』だと思っているはずだから。