大人の男を一人、動けなくするほどに強い彼女が、俺の前ではまるで親に叱られる小さな女の子だ。
………本当に…。
「千歳は…可愛いね」
「…は。……なっ、何で?
どうしたの、勇気…?
幻滅したんでしょ…?
呆れて怒る気にもならないの…?」
「…違うよ。
危ない事には反対だけど……千歳は、可愛い」
「…?意味が分かんない。
どうしちゃったのよ」
そっと繋いでくる手が、愛しい。
しっかりと握り返して俺のスーツのポケットに入れる。
「何だか勇気…今日は優しいね」
「いつも…優しいでしょ。
お酒は?
もう、抜けたの?」