千歳の回し蹴りが佐野の背中にヒットする。

ドサッ。
佐野が前のめりに倒れた。

「………」

俺は半口をポカンと開きその光景を唖然と見ていた。


「ふん。……その程度か。
まあ…そろそろ勘弁してやるよ。

じゃあね。
二度と話しかけないで。

あと……、勇気に何かしたら……殺すわよ」


「……くっ……」

佐野は起き上がれないまま、悔しそうに歯を食いしばっている。


周りのギャラリー達は、ピーピー口笛を吹いて、オオーッと千歳に拍手までしている。

「ありがと、ありがと」

彼女は軽く手を上げてにこやかに、こちらに向かって歩いて来る。