俺は先輩を押し退けて外へと駆けて行った。

千歳!!
どこだよ?!

当てもなく夢中で走る。

あの日から……彼女に夢中だった。
その美しさから、未だにこれは夢なのか、と感じる事さえある。

儚くて、壊れそうで……、触れるのが怖くなるほどだ。

彼女の綺麗な、その全てをめちゃめちゃにする権利など誰にもない。
俺にすら。

無事でいて……、千歳!


ふと前を見ると、何やら人だかりが出来ている。

ストリートパフォーマンスでもやっているのか…?

俺はそっと中を覗き込んだ。

!!!!

……千歳。

そこでは、佐野を殴り倒し蹴り上げる、
最愛の人の姿があった。


「ほら!やり返して来いよ!
その程度か!」

「……くそ…。化け物め…。
この…っ…!」

佐野がフラフラと立ち上がり彼女に向かって拳を振り上げる。

……あ!危な……!

俺はサッと前に出ようとした。


ドカッ。