――俺はあの日の事を思い返しながらぼんやりとしていた。


「………ですかね。藤崎さん。
藤崎さんは同期で同課だから何か知ってるんじゃないですか?」


………は。
突然話をふられて顔を上げた。
俺を取り囲む女性達が興味深々の面持ちで俺を見ている。

「えっと………ごめん、何?」


「だから、商品企画の沢森さんと佐野さんですよ!
今ね、二人で寄り添うように出て行ったの!
あれはよりが戻ったのかしらね。
でも……今からだと不倫になるわね。
木原さん、お気の毒〜」


「…!!!え!二人で…出て行った?!」

「ええ」

俺はガタッと立ち上がると宴会場の部屋の外へと飛び出した。