それからと言うもの、靖夫は何かにつけて私達に絡んできた。
「千歳〜、やっぱり俺とやり直さないか〜。
俺さ、嫁さんといると最近何か違うな、って思い始めて。
やっぱノリだよ、ノリ。
お前くらいの気構えがないと、あんまりお嬢様でもさ、疲れるんだよな」
「あんたは私とじゃなくて人生をやり直したら?」
…課の飲み会でほろ酔いの靖夫が私の肩に手を乗せて顔を近付けてくる。
「…離れてよ。また失神したいの?」
「……ああ。失神したいね。
お前と、ベッドで」
「…!!!」
最悪。
震える拳を今にもその顔面めがけて飛ばしそう。
だけど……我慢。
『君にはそんな風にして欲しくない』
私は勇気の一言だけを胸に思い、殴り倒したい気持ちを抑え込んでいた。