私は怒りでまたしても我を忘れていた。
パコーン!!!
「うわ?!」
ドサッ。
……後ろからかました飛び蹴りが気持ち良く靖夫の頭に命中した。
「千歳!」
勇気が私に駆け寄る。
………何度目だろう。
無茶をした私を心配そうに覗き込む、この目を見たのは。
私は着地した膝を軽く払いながら彼に笑って見せた。
「……最近運動不足だから。
足が思ったより上がらなくなってるわ。
まあ、別の運動はしてるけどね」
勇気の顔がまたしてもボボッと赤くなる。
「……千歳…、声が大きいよ」
彼は慌ててあたふたする。
「何よ。知れたらマズイ事でも?
……しかし、相変わらずのカスよね。
信じられないくらい低レベル」
私は床に転がり呻いている靖夫を軽く足で小突いた。