彼の肌の温もりが優しく私を包んでいる。

私の胸の上で組まれた彼の手にそっと触れる。

「………。
行かないでなんて言っても…あんたは止まらないじゃない。

私がどんなに望んでも…」


私の涙が藤崎の袖口にポタポタと落ちてすっと染みていく。

「……もう一度…訊いてもいいですか。
……俺が…好きですか?」

彼の言葉が呪文のように耳に響く。

今ならあんたの言う事を何でも聞いてしまうだろう。

「…そうよ。……悪い?」

私が答えると彼はフッと笑った。

「やっと……言いましたね。
ええ。悪いですよ。
……素直にすぐに言わないから」

「ふじさ……」

そのままクイッと彼は私の顎を掴むと、優しくキスをしてくれる。


………ああ。そう。この感じ。
全てがどうでもよくなる、気だるく甘い感触。