これが愛と呼べるかなんて、まだ分からない。
私は彼を知らなさすぎる。
だけど彼の腕の中は、これまでに感じた事がない温かさと幸せを私に感じさせてくれる。
今まで出会って肌を合わせてきたオトコたちは一体何だったんだろう。
覚えたテクニックの発表会でもしているかのような自分本意の交わり。
愛に包まれ幸せを感じたのは初めて。
好き、だなんてまだ今の段階では胸を張っては言えない。
だけど…いつまでもこうしていたい。
「……千歳…、……」
その声をずっと聞いていたい。
だけど今のままじゃ駄目だわ。
藤崎には沢森 千歳に「好きだ」と思われる程のオトコになってもらう。
私は彼の愛に揺られながらそんな事を考えていた。