――「…あんたは…今から私のオトコだから。
嫌だとは…言わせないわよ?」
「えええっ…?!…ほ…本気…ですか」
「本気よ。これからは…私だけのものになるのよ」
言いながら滅茶苦茶だと自分で思う。
私だったら逃げ出したい。
支配欲の塊が自分を包むような、こんな話からは。
だけど仕方がない。
私はこんな風にしか言葉を使えない。
可愛い女になんてなれる訳がないのだから。
――ケモノ女。
会社中で自分がそう呼ばれている事をもちろん知っている。
相手が上司でも先輩でもすぐに噛み付いて思った事を貫き通す、そんな私。
藤崎とは住む世界が違う。
人の面倒や仕事を全て引き受け、更に失敗までもを受け継ぐ。
そんな彼とは。
私もこれまではそんな藤崎を小バカにして冷めた視線を向けてきた。