「……あの…私達…、もしかして…」

お互いが裸でベッドに横たわり朝を迎える。
この状況が全てを物語ってはいるけれど、やはり、信じられない。

「…やっちゃった……のよね?」

彼の目を真っ直ぐに見て改めて訊ねる。

「……本当に何も覚えていないんですか…?
だから……駄目だと昨日あれほど言ったのに…」


………は。

「ちょっと待ってよ。
私から誘ったとでも言うつもり?」

私が少し声を張り上げると彼は、綺麗な目を途端にキョロキョロと躊躇いがちに泳がせ始める。

「…いや…あの、怒らないで下さい…。
一応俺は…止めたんですよ。
だけど、沢森さんが…無理矢理…」


……やっぱり、これは間違いなく藤崎だわ。
この挙動不審ぶりは、いつも見ている彼と何ら変わらない。

ただ。
分厚い眼鏡を外して、あり得ないほどの美形だけれど。