「………藤崎ぃ……」
「はい」
「……ありがと」
「………」
彼は最後は無言だった。
軽蔑してるのかもね。
こんなオンナは。
彼の浮気(私が浮気相手かも…)も見抜けずに、最後には人前で修羅場を演じる。
藤崎みたいなタイプの人間にはきっと理解出来ないわよね。
彼はとても慎重なタイプに見えるもの。
私は藤崎の背中を見ながらそんな事を考えていた。
――――と、この辺りで記憶が途絶えている………。
現実に残っているのは、裸で横たわる隣の男と、それが何故だか分からない自分。
マジで……ちょっと、待ってよ…?
藤崎は何処へ行ったのよ。
この男は……誰なの?!