バタン! 会場のレストランから、生温い夜風が吹き荒ぶ屋外に出る。 「………」 ホッとするのと同時に、肩の荷が降りたような不思議な清々しさを感じる。 「………沢森さん……」 藤崎がすっと私に何かを差し出した。 ………? ハンカチ? ………あ。 泣いていた。 やはり、強がってはいても私は靖夫に未練があるのだろうか。 「………う………」 私は藤崎の空色のハンカチをパッと受け取ると、目に押し付けた。