「あなたは…沢森さんを深く傷付けました。
……彼女に手を上げる権利は…
ありません」
一言、一言、ゆっくりと藤崎が話す。
靖夫は普段殆ど話さない彼の声を初めて聞いたのではなかろうか。
「…は……離せ…っ」
ギリギリと藤崎が力を込めてでもいるのだろうか、二人の握りあった手が微かに震えている。
「お前なんかに……関係ないだろう…!」
「大体……理解に苦しみますね。
この場に彼女を招待する事自体に。
関係ない……ですが、目の前で女性が暴力を振るわれるのを黙って見てはいられません」
「…この…」
靖夫がもう片方の手を出しかける。
………あ……!