私はバックを掴んでそんな二人に背を向けるとスタスタとテーブルを離れた。
そりゃ、…一瞬思ったわ。
勇気が私を追いかけてやって来るんじゃないかと。
……だけど、彼は私を追っては来なかった。
もう、札幌にでも何処でも行ってしまえばいい。
誰でもいいのなら私である必要はない。
私だってせいせいするわ。
あんたに対するイライラから解放されるのだから。
思いながら…涙が零れてきていた。
そのまま部屋に戻り、シャワーを浴びてから缶ビールを一気に喉に流し込む。
ふう、とため息をついて、二人は今頃何をしているのかと、つい考える。
その腕に麻衣子を抱いているのだろうか。
『抱いて』と言われて言う通りにしたのだろうか。
『愛してると言って』と言われてその言葉を口にしているのだろうか。