「……そうなの?
……いいわ。分かった。
私は帰るわね。お邪魔みたいだし」

私が言うと勇気は顔を上げて私を見た。

そんな彼を睨みながら更に言う。

「麻衣子とのデート、楽しんで」

「…!!」

勇気は何も言わない。
ただその目が言っていた。
『千歳はそれでいいの?』と。

いいも悪いも。
あんたがそうしたいんでしょ。
流されるままにこんな状況になるまで自分の考えも意見もないんでしょうが。

本当に本気で見損なったわ。
今回ばかりはフォローのしようがないわね。

中身のない男に付き合う時間なんて、私にはない。
もう、好きにしなさいよ。

人の言いなりにしかならないお人好しめ。