「ううん。何でもないの」

「………?」

………試してみようか。
私の中に生まれた疑惑は、もう、確認しないと納得出来ないところまで膨れ上がっている。


私だけであって欲しい。
彼を心から信じたい。

他の女などには興味がないのだと。



「……私の従妹に会ってみない?」

「……え。…どうしたの、突然」

「………どうもしないわ。
会わせてあげたくて。
仲が良いのよ」

「そうなの?じゃあ会ってみるよ。

……嬉しいな」

「え、何がよ」

「親しい人を会わせてくれるなんて初めてだから」

「………」


私は彼から思わず目を逸らした。

従妹の麻衣子とは確かに小さな頃から仲がいい。

だけど彼女とは昔からよく男を取り合ってきた。
なぜだか偶然、いつも同じ人を好きになる。
顔もタイプも毎回違うのに。

きっと勇気を会わせたら麻衣子も彼に興味を持つわ。
保育士である彼女は女性しか周りにいないと以前から漏らしていた。

きっと今も彼はいないはず。


素直に喜ぶ勇気を見て私は僅かな罪悪感を抱きつつも、胸の奥に押し込んだ。