「…確認しに行ったの。
月が…生き返ったかどうか、地下の魔方陣の場所に…」
そして。
「ぐらぐらして塔が出来ていて。
その近くだったから…魔方陣がある所の"天井"が壊れてたの。
上から中を覗いたら、月がいて…」
「術の解除ではなく、単純な物理的衝撃で天井が抜けるとは…あの地面も脆(もろ)くなっていたか。
それで、生き返っていた…のか?」
久遠は瑠璃色の瞳をすうと細めた。
こくんと旭くんは頷いた。
「笑ってた。
笑いながら旭に手を振ってたの。
月の所に行こうと降りたら…」
旭くんの顔が、曇る。
憎悪に。
「月の首を手で引っこ抜いたの!!
屋敷に来てた…
"くずみ"っていう奴が!!!」
久涅!!?
顔を見合わせたということは、
誰もがそれを思ったのだろう。
「そして――
"モホウはよせ"と言って…
月の首を高く高くお空に放ったの。
高く高く…
消えて無くなってしまうみたいに」
「それを追いかけて来たんだ?」
あたしは旭くんの頭を撫でると、旭くんは片手であたしの首に手を回した。
凜ちゃんから旭くんを預かると、あたしはそのまま旭くんを抱っこした。
ぎくっと腰が鈍い音をたてたけど、気にしない。
「せりかちゃん…。
久遠さまとりんりんが…
くずみに見えたの。
だからね、殺そうとしたの…」
また嗚咽を繰り返す。
「久遠さまをお守りしないといけないのに…
久遠さまを殺そうとしたの。
ありがとう…
旭を止めてくれて…」
そして――
「月は…生き返ってなかったんだね…月は…」
うわあああんと大泣きをしてしまった。
「生き返ってたら、月ちゃん可哀相じゃない。
だから良かったの。
月ちゃんそのままで、
本当に良かったんだよ!!」
あたしももらい泣きだ。