さっきメールしたってのに今度は電話か、本当に仲良いんだなぁ。
話相手がいなくなったのでジュースをすすりながら聞き耳をたててみる。
「あー、もしもし。
いや、いらね。
うん、うん。
あ、そっか。よろしくー」
単語ばかりの簡潔な電話を済ませると今度はポケットにケータイをしまった。
「彼女???」
あたしは気になったことをストレートにきいてみた。
彼女だとしたら物凄く冷たい電話だと思ったから。
すると意外な言葉がかえってきた。
「いや、母親」
あー、なるほどね。
たしかにお母さんにラブラブ電話してたらこわいわ。
「好きな映画やってっからビデオ撮っとく?って電話」
聞いてもいないのに千葉くんは会話の内容まで教えてくれた。
「へー!何の映画??」
返ってきた映画のタイトルにあたしはビックリした。
「えー??今日あれやんの???」
それはあたしが以前から気になってた映画。
「見たいんならかしてやろーか??」
「うんっ!いいの??」
「俺がみたあとな。明日土曜だから月曜かしてやるよ」
「ありがと~!!」
嬉しくって一気にジュースを飲み干した。
「ところであんた何組?同じ学校なんでしょ?」
やっぱり、知らないか。
一年も同じ校舎にいたのに知られていない。
あたしと千葉くんはそんな関係なんだ。