龍二達はバイクの話やらギターの話やらを始めるので話についていけないあたしは黙々と箸を進める。
しばらくたって龍二がトイレに立った。
かと思えば戻ってくる途中、別の席にも友達がいたらしく、つかまった龍二はなかなか戻ってこない。
ほったらかされて一人でなにしてんだろ、あたし。
みんなにバレないようにため息をついた時。
「これ食わねんならちょーだい?」
「えっ?」
返事も待たずに伸びてきた手はお皿に残った最後の唐揚げをひょいっとさらっていった。
「ごっそさん」
そういって親指をペロリと舐めたのは目の前に座っていた千葉くん。
そんな姿さえ様になっている、我が校のモテ男。
うちの高校に通ってて千葉くんの事、知らないわけがない。