「ちば、くん!」
もともと背の高い千葉くんはすわっているあたしを見下ろすように立っていた。
あたしはつい回りをキョロキョロ見て、千葉くんのズボンの裾をくいくいと引っ張った。
それにつられるようにしゃがんだ千葉くん。
「はいっ」
「ありがとぉ・・・・」
目の前に差し出された黒い箱を受けとるとなぜかニコニコ笑っていた彼。
「な、何?」
「いや、本当に同じ学校にいたんだなーと思って!」
し、失礼なっ!!
「存在感薄くてすいませーん!」
ぷぅっと口を尖らせると、
「あはは、膨らんだー!」
そう言ってほっぺたをつつかれた。
「ちょ、やばいって!!」
こんなところ誰かにみられたら!!
触れられた所から熱がどんどん広がるような感覚に陥る。
赤くなる顔を隠しきれないあたしを見て満足げな千葉くんは、
「返すのいつでもいいよ~」
そう言って立ち上がると隣のクラスのベランダへと行ってしまった。
「亜衣~?もう昼休みおわるよ??」
間一髪、穂香が帰ってきてあたしは一気に現実に引き戻された。