それはあたしのすぐ前にいた朱莉が離れたから



と言うよりも、あたしが彼女から離れた…否、離されたからだ


すぐそばから香る、朱莉のシャンプーのにおいではなく、香水のようなシトラスの香り


今もなおあたしの手首を持ち続けているのは、意外なことに爽だった



なぜか心臓が大きく跳ねた気がしつつ、爽を見上げる



「………」


だけど爽とは目が合わず、なぜかそっぽを向いている



爽の名前を呼ぼうと小さく口を開いた時



「蓮香先輩!!」



こんどは朱莉によってあたしが喋り出すのを邪魔された