担任の口がもごもごと動いた後、葵と言う名の彼が口を開いた
担任の声は全くと言っていいほど耳に入ってこなかったのに、その男子の声は耳に響いた
「柏木葵、よろしく」
短くすました彼のあいさつ
その声は瞳とは対照的に、どこか澄んでいる
担任に席の場所を言われ、彼は動き出す
その動きにどこか品を感じる
彼は、廊下側の一番後ろとなった
あたしたちは………
というよりも説明が遅れたが、爽と耀太と佑とあたしは同じクラスだ
あたしたちが教室に来た時、窓側に座っていたのが偶々黒春の下っ端だったため、耀太が頼んで変わってもらっていた
だからあたしたちは窓側
葵という男子は廊下側
かなり、遠い